2012年3月3日土曜日

「はじめましてJPMです。-MINI LIVE & FAN MEETING-」

  台湾“影視”研究所というからには“あの映画に出ていたあの俳優のその後”は、大いに気になるもの。『九月に降る風』で仲間に濡れ衣を着せられてしまう少年を演じたモーディー(邱翊橙, Modi)のホットな今を、なんと日本で見ることができた。実兄ワンヅ(王子)らと3人組アイドルグループ「JPM」を結成。日本盤デビューのことは以前にも紹介したが、この2月19日(日)、東京・SHIBUYA-AXで「はじめましてJPMです! -MINI LIVE & FAN MEETING-」と題したイベントを開催し、多くのファンの前でパフォーマンスを繰り広げた。

  当日披露したのはデビュー盤からの5曲。アルバムタイトル曲である「Moonwalk」をはじめテクノポップを基調としたダンスミュージックの印象が強い。バックダンサー2人を従えてメンバー3人がセンターをかわるがわるとりながらフォーメーションで魅せる。バラード曲の「君がいるから(因為有你)」はワンヅが作詞を担当したことがプラスに働いているようで、穏やかで優しく、彼らのファンへの想いが込められているようなあたたかみを感じさせる。「Never Give Up」は、これもテクノ系だが、サビのテンポのよい掛け合いが心地よい。
  リーダー格は、ジェイ(Jay)で最年長の25歳。日本語での自己紹介をじつに自然な発音・イントネーションでこなす。本人はそんなにできないと言うが、日本語が大好きで、日本人の友人からコーチを受けたらしい。
  いちばん人気といわれるワンヅ(22歳)は、ジャケットの内ポケットだのブーツの中だのあちこちに隠したカンペを見ながらのカタコト日本語がオチャメ。
モーディー(21歳)は、兄に負けじと投げキス付きで客席に向かい「アイシテル」。すかさず「Copy!(マネっ子!)」と突っ込むワンヅにひるむことなく「Yes,copy.(うん、そうだよ)」と素直に認めるところが兄弟の仲の良さの証明だろうか。
  ジェイとワンヅのコンビネーションもなかなかで、同じアイドル育成番組「模范棒棒堂」の一期生同士で長い付き合いになるせいか、トークの絡みもバッチリ。好みの女性についての質問に「ワンヅを好きな子が好き」とワンヅが言えば、「ワンヅにメロメロな子を奪いたい」と挑戦状を突きつけるジェイ。そこに「ワンヅなんか目に入らないという子が好き」と割り込むモーディー。3人ともまだ日本語にハンデがあるが、バラエティ番組などでもっと生のトークをみたい、という気にさせる。ファンミーティング中、突如起こった地震に会場中がざわめくとジェイが地面を押さえつけるポーズでファンをなだめ、3人そろってア・カペラでAKB48の「ヘビー・ローテーション」を披露と優しさもサービス精神も旺盛だ。
 「(できれば)日本にロングステイして、いろいろなジャンルに挑戦したい。いつか日本でコンサートを開きたい」(ジェイ)、「(ドラマ化されるなら)日本で『テニスの王子様』のドラマに出たい」(モーディー)、「日本語曲を歌ってみたい」(ワンヅ)といずれも日本独自の活動に期待を寄せているようす。
  台湾の男性アイドルグループは新旧交代の時期に差しかかっている。いち早く日本のメジャーレーベルからデビューとなったJPMの今後に注目したい。

【ミニライブ・セットリスト】
  1. Moonwalk
  2. 君がいるから(因為有你)
  3. Never Give Up
  4. ありきたりな美しさ(平凡的美麗)
  5. 雪の中の薔薇じゃない(那不是雪中紅)

【日本デビューアルバム】
JPM「MOONWALK / 月球漫歩」
初回生産限定盤(CD+DVD):SICP3364-53,200円(税込)
通常盤(CD):SICP3366 2,800円(税込)
発売元:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

【JPM日本公式ファンクラブ】
http://www.aziosc.com/jpm/

2012年2月21日火曜日

いろいろ来日

このところ来日ラッシュみたいですね。しかも、同じ日にイベントが2つも3つも重なる。華流媒体の人たちは、たいへんだろうな。と、ヒトゴトみたいに言ってますが、このところ私のところにくるお仕事は、そういう柔らかいものよりも硬めのものが多いのです。柔らかめのお仕事は、自分で書くというより、自分が取材対象になってたりするので、最近は「ライター」ではなく「研究家」でいくほうがいいなと思って、そういう肩書きにしてもらっています。セミナーの企画運営なんてこともしてますしね。

で、来日関係、ちょっとまとめてみます。

1月 周渝民「一万年愛してる」のプロモイベント
2/18~19 羅志祥(日本語シングルのプロモ)、JPM(日本盤プロモ)
2/19 ケルビン(ファンミ)
3/3 アーロン(ファンミ)
3/4 言承旭(ファンミ)
3/9~10 呉建豪(新譜プロモ)
3/10 唐禹哲(ファンミ)
3/11 「アジアミュージックコネクション2012」(呉建豪、唐禹哲、盧廣仲) http://asiamusicconnection.com/index.html
4/14 「アジア交流音楽祭」(羅志祥) http://www.tvk-yokohama.com/asia/
4/15 楊丞琳(ファンミ)
4/28 「パフェちっく!」イベント(アーロン、ケルビン)
4月「愛∞無限」イベント(潘瑋柏)
5/20「国民英雄X」イベント(鄭元暢)

作品絡みのものは例によってDVDボックス購入者特典ですが、それにしてもすごいなぁ。
皆さん、どのくらい行かれるんでしょうか?

2012年2月9日木曜日

春節と大阪アジアンと講座のお知らせ

春節もすぎ、バレンタインが近づいています。
今年の台湾の春節映画は、メイドイン台湾が多く「痞子英雄:首部曲」「龍飛鳳舞」「新天生一對」「陣頭」「寶島大爆走」と5本もあり、周杰倫の「逆戰」まで含めれば6本も台湾関係だったわけですが、いずれも好調で、特に「痞子英雄:首部曲」と「陣頭」はともに1億元超で続映中。先ほど私が見た聯合網の記事では「陣頭」1億5600万元だそうです。これらのヒットの裏には、今年の春節が大型連休で時間がたっぷりあった、ということもあるらしいけれど、そのたっぷりあった時間を自国の映画のために割こうという人が増えたというのはいいことですね。

さて、第7回となった大阪アジアン映画祭のラインナップが発表されました。香港返還15周年ということで香港映画祭が併設されていますが、ラインナップを見て、香港映画ファンには申し訳ないけど、やっぱ台湾スゴイや、と。
何と言っても「セデック・バレ(賽德克・巴萊)」がオリジナルの前後編で上映されますし、林書宇監督の「星空」は幾米原作ものの中では一番の出来(と、私と某S氏の評価)。台湾で公開目前の鈕承澤監督「LOVE」も、現地でプレミアを見た辛口の友人がかなり褒めてました。「熊ちゃんが愛してる(熊熊愛上你)」は、郭品超(ディラン・クォ)の初台湾映画(今まで出演した映画は主に香港映画)で、もしかしてアイドル俳優好き?の鄭芬芬監督作品(張孝全→彭于晏→郭品超、次は誰だ?)。
そして、忘れちゃいけないのが、「海角七号」で日本語ナレーションを務めた蔭山征彦さん主演の「父の子守歌」。「父の子守歌」は、日台混血で台北で研修医をしている青年が、3.11の震災で日本の東北にいる姉と連絡がとれなくなり…というお話のようです。切ないけど、日本留学経験ありの親日家プロデューサーの愛を信じて応援したいと思います。(蔭山さんも来てくれたらいいな)https://www.facebook.com/2012TEARS

2011年の台湾映画総ざらい、途中で止まっていてすみません。
来週土曜に迫った德絃社presents「台湾エンタメ談議2 映画にみる台湾のお葬式~『父の初七日』日本公開を記念して~」の準備で関連論文をあさったり、週明け締切の映像資料を前に茫然としたりしております。エンタメ談議のほうは、右サイドバーに告知を出していますので、そちらのリンクをご覧ください。

それから、あちこちショップで配布中の「王子様の条件」のフリーペーパーにちょこっと出ました。だから言うわけじゃないですけど、あのドラマ、なかなか面白いですよ。とにかく飽きさせないし、憎たらしいと思ったヒロインを、気が付くと応援している自分がいる……オススメです。

2012年1月10日火曜日

台湾エンタメ談議 「エドワード・ヤンとその弟子たち」のお知らせ

だいぶ出遅れましたが、皆さま、あけましておめでとうございます。
2012年も、台湾影視研究所は台湾のエンターテイメントを通して、日台友好に寄与していくつもりです。
よろしくお付き合いくださいませ。


さて、本年最初の話題です。いきなり手前味噌な告知になりますが(^^ゞ

1月21日(土)に、石坂健治氏(東京国際映画祭「アジアの風」プログラム・ディレクター/日本映画大学教授)をお招きして、「台湾エンタメ談議『エドワード・ヤンと仲間たち』を」開催します。今回は、私も登壇して、ナビゲーターとして対談形式で進めていく予定です。

会場は、德絃社(新宿区坂町27-10 ガーデンタワー37 5階)。先月の林雅行監督のミニ講演会会場と同じです(名称変更)。当分、台湾影視研究所の関わるイベントは德絃社で開催します。
会場の都合で定員20名ですので、なるべくお早めにお申し込みください。

詳細・お申込みは、http://tokugen.jp/info/20120121/ をご覧ください。

2011年12月31日土曜日

「寶島漫波」~2011年の台湾映画6

7月に台北電影節で観賞した一本で、台湾一般公開はその直後の7月22日だった。
 かつて水野美紀や宮沢りえ、田中麗奈をヒロインに迎えた映画も撮っていた陳以文が、プロデューサー(と出演)にまわったコメディだ。
 失業して屋台でもやって小銭を稼ごうとしていた主人公・阿光(屈中恒)は、旧友Toro(陳以文)に誘われて、Toroの経営する会社に就職、声優のような仕事をすることになる。じつは、この会社の正体は、無線を傍受して誘拐事件の身代金を横取りしたり、電話を使って詐欺を働いたりする台湾版オレオレ詐欺集団だった。だが、阿光はそんなこととは知らず、何か変だと思いつつも仕事に励む。というお話だ。
 日本における振り込め詐欺事件のことはご存知だと思うが、ずいぶん前からその手の詐欺事件が台湾でも起きているという。そういう社会背景があってのこの映画で、以前、「Catch(日本未公開)」という楊祐寧と阿部力が共演した映画(DJチェン監督)がそのあたりのことを踏まえて作られていたらしいが、この「寶島漫波」のほうがわかりやすいように思う。
 全編こてこての台湾テイスト。タイトルからして寶島は台湾のことであるし、漫波はマンボである。主題歌は「寶島曼波」という古い台湾語曲で、ここで使われているのは陳昇の新寶島康樂隊ヴァージョンか? ステップ踏みながら見ても一向に構わない、そういうノリの映画だ。基本的に深く考える映画ではない。とにかく妙におかしい。陳以文が妙におかしい。こう言っては失礼かもしれないが、喜劇俳優のほうが合っているんじゃないかと思わせるほどハマっていて、意外な掘り出し物である。

 さて、ここ数年の台湾でヒットする映画の条件には、台湾的であることというのがあると思う。モンガにしても海角七号にしてもそう言えるし、「鷄排英雄」なんて最たるものだ。そういう点からいくと、この映画はヒットするかもしれない、と思えた。が、残念ながら……。わからないもんだ。

『運命の死化粧師(命運化妝師)』~2011年の台湾映画5


「帶一片風景走」に続いて6月末に台湾公開されたのが『運命の死化粧師』として東京国際映画祭で上映された「命運化妝師」だ。日本の上映に際しては、評価が分かれたようだが、私の台湾人の友人たち(けっこう厳しい)の評判はなかなかよく、今年の中規模作品のなかではいちばんになるのではないかという評価を下した人もいた。日台で評価が割れたのは、サスペンスというジャンルが大きく作用したのではないかと思う。テレビの長ドラでサスペンスものを多く見慣れた日本人と、国産サスペンスの枯渇している台湾の違いである。2010年の東京国際映画祭での『ズームハンティング』上映時にも、長ドラを引き合いに出す声は聞かれた。

『運命の死化粧師』のヒロイン・ミンシュウは、遺体を修復し死化粧を施すエンバーマー。彼女は、高校時代の恩師・チェンティンの遺体に死化粧を施すことになる。自殺だというが、彼女には信じがたい。彼女は、チェンティンの自殺を怪しむ刑事のクォに協力し、チェンティンの夫で精神科医のニエに探りを入れることになる。ミンシュウの脳裏には、チェンティンと過ごした高校時代の想い出が甦っていく。

 この映画はサスペンスだ。と同時に、切なく苦しい愛の物語でもある。
 ミンシュウがチェンティンの自殺に反応したのは何故か。それは、単に恩師だったからではない。ふたりの絆の深さが明らかになるにつれ、ニエの妻に対するもどかしい想いも顕著になってくる。ふたつの想いに挟まれたチェンティンは、意外なほどの脆さを露呈していく。
 サスペンスというからには、なぜ自殺したのか、本当に自殺なのかという謎解きも重要であるが、私は寧ろそこに描かれた静かに見えて激しい愛、その切なさに参ってしまった。

 ヒロインのミンシュウを演じたのは、侯孝賢の秘蔵っ子女優・謝欣穎。今、注目の若手女優のひとりだ。チェンティンをドラマ『結婚って、幸せですか(犀利人妻)』で人気爆発の隋棠(ソニア・スイ)が演じている。ソニアは、『結婚って~』ではか弱い主婦が離婚したことから自立して強くなっていく様を演じて評判を呼んだが、本作ではその逆のパターン。TV的なデフォルメされた演技ではない、やわらかなシフォンのような存在感が悪くなかった。
 男優陣は、クォに『花蓮の夏(盛夏光年)』の張睿家(ブライアン・チャン)、ニエに実力派の呉中天という布陣。張睿家に私は『花蓮の夏』で見せた繊細さや、ドラマ『EXPRESS BOY』での陰りのイメージがあるのだが、今回は実年齢より上の役柄のようで、彼にしては脂ぎってふてぶてしく、いつになく男臭さを感じさせていたのが印象に残った。
 呉中天は余裕かと思ったが、映画祭の時に監督から聞いた話では、30代後半という役柄の設定に戸惑い、より年齢の近いクォのほうを望んだとか(実年齢は30歳らしい)。意外であったが、今の台湾では30代後半の男優が枯渇しており、彼にオファーがいったのは当然だろう。でも、不自然に感じさせないところがすごい。

 とまあ、私はけっこう楽しんで観た。まだ日本には売れていないらしい。ソニアもきれいだし、どこかで何とかならないものかなと思う。

2011年12月26日月曜日

「帶一片風景走」~2011年の台湾映画4


今年は早い時期から9月の「賽德克・巴萊」の公開が決まっていた関係で同時期公開を避ける作品が続出。6月中旬から台湾では、台片公開ラッシュになった。結果的にそれが功を奏したわけだ。

まず「帶一片風景走」が登場。タレントで歌手でもある澎恰恰が監督し、かつて東京国際映画祭で上映された『セブンイレブンの恋』の黄品源が主演。澎恰恰と黄品源は、92年の金馬賞受賞作『無言の丘』で金鉱(金瓜石)で働く主人公兄弟を演じていて、それが19年後に監督と主演俳優という関係になっているのがマニア的には興味深い。

「帶一片風景走」は、難病に冒され身体の自由を失っていく妻と車椅子で台湾島を一周した、という実話を元にしていて、題材からして泣ける。夏休みシーズン直前のクリーンヒットになった。実際に現地劇場で見てきたが、泣かせる映画ではあるが、なぜかくどさはあまり感じず、俳優の魅力もあり、悪くなかった。決して裕福ではないが、それなりに暮らしていた一家に訪れる不幸。筋肉の自由が利かなくなることから、動けないだけではなく、話すこともままならなくなっていく。そんな妻を支える夫と娘、エールを送る人々の心温まる物語だった。(今、エール云々と書いたところで、震災に見舞われた日本に対する台湾の人々の温かさを思った)